Smiley face
写真・図版
開票速報を見守るために、ある陣営の選挙事務所に用意されたいす。開票作業が延期となり、事務所を訪れる人はまばらだった=2025年4月13日午後6時44分、三重県鳥羽市、安田琢典撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 三重県鳥羽市選挙管理委員会は、13日に投票され、即日開票されるはずだった市長選と市議補選の開票作業を、14日に延期すると発表した。13日は雨風が強く、離島の神島の投票箱を市中心部にある市役所内の開票所へ当日中に運べなくなったため。市選管によると、開票作業の延期は2017年10月の衆院選以来という。

 市長選に立候補したのは、新顔で元市教育長の小竹篤さん(69)と、新顔で前市議の山本哲也さん(46)=自民推薦=、3選を目指す現職の中村欣一郎さん(66)=自民推薦=のいずれも無所属の3人。この日、立候補者が3人の市議補選(被選挙数2)とあわせ、市内26カ所で投票され、13日午後8時から市役所で開票予定だった。当日有権者数は1万4005人。

 神島は鳥羽市本土から約14キロに位置。市選管によると、当初はチャーター船で運ぶ予定で、緊急時に備えて自衛隊のヘリコプターも手配していたが、いずれも安全に運搬できないと判断した。14日は神島発の定期便が運航した場合、午前9時から開票する予定という。

陣営「肩すかし」、離島対処を求める声も

 13日夜、開票結果を待とうと、市内の事務所内にいすを並べていたある陣営では、「朝から緊張して事務所に詰めていた関係者もおり、正直、肩すかしを食らった気分だ」との声が聞かれた。

 候補者の一人は、「四つの離島を抱える鳥羽市ならではの地理的条件ゆえに、事前に対処法を想定しておくべきだった」と指摘。その上で「全国的に大規模な災害が頻発しており、将来的には各地の選挙事務作業に影響が出てくる可能性もある。鳥羽市では少なくとも島内で、開票まで完結できる仕組み作りを模索するべきだ」と話した。

 今回の市長選は、山本さんと中村さんに自民推薦が出て保守分裂選挙となり、市政の継続か、刷新かが問われた。

 小竹さんは昨年12月に教育長を任期途中で辞めての立候補。「決断と実行力で市政を変える」とし、「廃業した鳥羽駅前商業ビルの早期取り壊しや子どもたちが遊べる居場所作り」を主張した。

 市議3期目途中で辞職し挑んだ山本さんは「市民と対話し、一緒に考えて実行できる鳥羽に変えたい」と訴えた。40代の若さを前面に、挑戦する人や企業を応援して「稼げるまち」にするとした。

 現職の中村さんは、伊勢志摩地域をつなぐ道路網の整備など2期8年の実績を強調した。「すでに動き始めている鳥羽駅周辺の再開発を着実に軌道に乗せていきたい」と訴えた。

共有